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世界が変わったのだから、自分も変わらなくてはならない。

エンジニア兼デザイナーのナカモリのブログです。

瀧本哲史著「戦略がすべて」を読んで思ったこと

日記 読書

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瀧本哲史著「戦略がすべて」(新潮新書)を読みました。

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)

 

「戦略」という言葉を見ると思い出すのは「舞の海」という力士です。体格的に圧倒的不利な相手に対しても、工夫して強敵を倒していく様は今見ても感動します。


大相撲史上最大の番狂わせ▼舞の海秀平vs曙太郎(1991年)「三所攻め」

「戦略で勝つ」とは、横一列の競争をせず、他とは違うアプローチを模索すること
(上掲書より)

まさに戦略で勝っていた舞の海にかっこいいなぁと思います。舞の海はもう引退した力士なので話が古いですが、「戦略がすべて」ではAKB48など最近の時事テーマを「戦略的思考」という視点から解説しています。

「戦略はすべて」では、戦略的思考を次のように定義しています。

「戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの貼り方をすること」
(上掲書より)

以下、この本を読んで、特に印象に残った章についてのメモです。

1.コケるリスクを排除する - AKB48の方程式

AKB48は属人性が低いアイドルという点が特徴です。やっぱり属人性が高いということは、リスクが高いといえます。特に、人の稼働率の限界については、寝ずに働けとは言えますが、実際倒れたらいけないので、どうしようもありません。

自らの能力を高め、優れた人材として評価を受け、高い報酬を得たいという者だけがこの競争に参加すればいい。こうした競争が嫌ならば「コモディディ化」された人材として、大きな夢は見ず、賃金や条件の不満は飲み込んで、こつこつ働くしかない。
(上掲書より)

表現は多少過激かもしれませんが、確かにそう思います。

3.ブランド価値を再構築する - 五輪招致の方程式

確かに「勝利の条件」は本質を見抜くことであり、「勝利の条件」が何かを見誤ると失敗します。反対に言えば、「勝利の条件」を明確にしておくと少し失敗があっても勝てます。したがって、何かに応募する場合は、何が求められているのかを明確にして、それについてわかりやすい回答ができるのかを考える必要があります。

例えば、正社員募集の面接時に「『正社員は安定しているから応募しました』と回答して大丈夫なのか?」と、ちょっと立ち止まって考えてみては?と思います。

4.「儲ける仕組み」を手にいれる - スター俳優の方程式

たいていの学習可能なスキルは高報酬につながらないと私は考えている。
…(中略)…
付加価値の源泉は、会社が所有している「資本」、すなわち設備、ノウハウ、ブランドといった「儲ける仕組み」である。
…(中略)…
この「儲ける仕組み」に関与していないコンビニのアルバイトの店員は報酬は少ない。
コンビニの店員は、誰がやってもそれほどスキルに違いがないので、労働者としてコモディティ化している。
ビジネス全体を理解して、「資本=儲ける仕組み」に参画しない限り、可能性の上限は限られ、経営者の気まぐれ労働分配率に頼らざるを得なくなる。コモディティ化された存在にあっては、いつまでも高額の報酬は望めない。
(上掲書より)

保育士や介護士の給料が話題になることがよくありますが、仕事がハードなのはよくわかりますが、やっぱり給料上がりにくいよなぁって思います。

6.コンピュータにできる仕事はやめる - 編集者の方程式

コンピューターをしのぐ編集者というのは、コンテンツの精査と販売戦略の両方に通じ、かつそれを有機的につないでヒットを生み出せる編集者だ。
(上掲書より 一部改)

いいものが作れるだけではダメで、それをいかに売れるようにするのかまでを考えなければならないと思います。「いいものを作れば誰かが見つけてくれるだろう」という考えは甘いなぁ。やっぱり、自分では「ガンガン行き過ぎているかもしれない」と思うくらいがちょうどいいのだろう。

コンピューターは人間が指した過去の将棋の記録(棋譜)をデータ化し、それを解析して判断している。つまり、人間の判断とコンピュータを組み合わせたものが一番強い判断方法である。
編集者や著者にはアイディアをひねり出すことができても、コンピューターはデータ入力無しに仮説は作れない。つまり、無から有を作りだすことはできないのだ。
(上掲書より一部改)

コンピューターと人間の違いとして、人間の強みを「無」から「有」を生み出すことができることをあげていますが、それもいつまで続くのやらと思います。人間が「無」から「有」を生み出すときも、何かの経験がきっかけがあるのであって、そのうちコンピュータもある種類の記録から、まったく別の種類の何かを生み出すかもしれません。この章を読んでいて、アルファ碁のことを思い出しました。

trendy.nikkeibp.co.jp

今のうちに自分のポジションを確立しなければ。

8.二束三文の人材とならない -2030年の方程式 および 9.勝てる土俵を作り出す -オリンピックの方程式

自分が属する業界のことを知りつくし、かつ、新しい仕組みについてのアイディアを持てば、起業は成功する確率が高い。
(上掲書より)

「楽勝できる土俵」を見極め、徹底的にそこに資源を投資する。
(上掲書より)

まずは、自分が属する業界で修行を重ね、新しい仕組みについてのアイディアか楽勝できる土俵を見つけることが、起業成功への第一歩ということです。畑違いの業界に手を出すのもダメな理由もわかります。

楽天とかのECサイトでも応用できそうな考え方です。

11.人脈とは「外部の脳」である -トップマネジメントの方程式

実は「異見」を取り入れることが質の良い意思決定を生むのである。
教養として知識を学ぶことと同様の努力をもって、多様な人的ネットワークを構築することが個人の「教養」を深める方法として有益という結論になる。
同じような人達から、同じような意見を聞いて、自分の意見と同じであることをお互いに確認しているとしたら、そこでは何も新しいものは生まれない。
(上掲書より 一部改変) 

いろいろな人のいろいろな意見を聞くことは、新たな発見があり、勉強になります。僕の場合は、多様な人的ネットワークの構築は全然できていないからなぁ、今後の課題です。

いろいろな方々の意見を勉強する手段としては、(三重県伊勢市でのイベントですが)「みそか放談」があります。「みそか放談」とは三重県伊勢市周辺を代表する企業の社長の方々、銀行の支店長の方、自治体や行政の方、大学教授などバリエーションある人選が、毎回さまざまなテーマで議論をするイベントです。実際に行ったことはありませんが、YouTubeで見ています。いろいろな方々のご意見が聞けて、勉強になります。


リアマツテレビ「第10回みそか放談」2015/08/29

13.ネットの炎上は必然である -ネットビジネスの方程式

ネットにおける発言者は、閲覧数を増やすことを基準に執筆するので、より炎上しやすい、極端で質の低い情報発信を行うインセンティブを持つようになる。
少数の「信者」を見つけることが、ネットビジネスにおいては重要な戦略となっている。
(上掲書より 一部改変)

ネットビジネスにおいて炎上は仕方ないのないことだと考えているのではないかと思います。必ず反対の意見を持つ人もいるし、たくさんの人に見てもらうことが必要なネットビジネスなので、反対側の意見を持つ人に当たる可能性も十分あります。反対側の意見を持つ人に出会わないようにすると、ネットビジネスの基本であるアクセス数を集めることができず、成功しません。したがって、炎上を恐れずに少数の「信者」を見つけに行こうというのが、ネットでうまくいくポイントだと思います。

15.若者とは仲間になる -デジタルデバイスの方程式

古いパラダイムが新しいパラダイムに大きく変わるとき、両者のパラダイムでは前提にしている認識や枠組みがあまりにも違うために、古いパラダイムを知らない人間のほうに有利に働くことがある。
自分の身近にすでに起きている小さな未来をたくさん持っている・知っていることが極めて重要。
(上掲書より 一部改変)

この章を読んでふと思ったのはGENKINGさんのInstagramの攻略法です。

jp.techcrunch.com

今はminneやメルカリで若い子たちはお小遣いを稼いだりしています。

mainichi.jp

「ググる」はもう昔のこと。
若い子と仲良くしよう。

16.教養とはパスポートである -リベラルアーツの方程式

 現代は情報をなるべく制限し、自分に都合のいい情報だけを吸収する風潮。

「教養」とは「自分と異なる思想」全てを指す。
(上掲書より 一部改変)

 ジャパネットたかたの元社長が「世阿弥の世界」という本を読んで、TV通販に通じるところがあるとTV通販に世阿弥の考え方を取り入れたとの記事があります。

www.asahi.com

「TV通販」と「世阿弥」は関連なさそうだと考えがちですが、関連なさそうと思うことがよくないことです。

また、ある予備校講師は、本屋さんに行くと、目を隠して適当に本を無作為に選んで、それを買って読むというルールがあると紹介していましたが、それも自分のフィルターを排除して、いろいろな考え方を吸収しようという表れなのだろう。

最後に

他にもいろいろな時事テーマがあり、各章あまり長くなく、身近なテーマが多く、読みやすいので、いろいろ考えることができます。さらに、新書なので安いので、読んでみてはいかがでしょうか。 

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)